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京料理・懐石料理・日本料理の料亭「京都吉兆」メディア紹介 新聞・雑誌等
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約600坪もの広大な敷地に、母屋、東屋、離れ、蔵などが点在する。客室は10室。ど こに目をやっても、楓などのこぼれんばかりの緑が眩しい。右写真は「御幸亭」に繋 がる門

霧が掛かれば山水画を思わせる表情を見せる桂川と嵐山。風景明媚な景色を求めて、 観光客たちが押し寄せる。言わずと知れた、京都の代表的な景勝地に、堂々たる門構 えで佇む。門の前で記念撮影をする観光客の姿も珍しくない。
夜は1人4万2000円から。2人ならば10万円にも届く。高級旅館に宿泊できてしまう値 段は、憧れの地とされるのも当然である。とはいえ、一見お断りという敷居の高さは ないし、明朗会計。開かれた憧れの地である。
時刻は6時。門前には、「吉兆」の文字を染めた法被を纏う男衆が立ち、私たちを迎 えてくれる。
高らかに響き渡る鳥の声、ザワザワと涼しげな音を立てる桂川の流れ。門をくぐる前 から耳に入っていたのに、一歩足を踏み入れると、特別な効果音のように聞こえるの が不思議に思える。緑豊かに木々が茂る前庭を抜け、用意された座敷のある棟に導か れる。上がり端に和服姿の女性が座り、私たちを迎える姿が目に入ってくる。
惜しげもなく使われる国宝級の器。若主人自らが全国を駆け回って探してくる、最高 かつ"本物"の食材----。この店が語られる際に必ず聞くことだ。当然、すべての料理 に唸るものはあるし、器も見事。ただ、意外なことに、そんな中でも緊張を強いて迫 りくるような空気は、微塵も感じられない。むしろ、軽やかで穏やか。滞在を通して つかず離れず、私たちについてくれる、係の若い女性の笑顔のように・・・。最高峰 たるものの、出過ぎない余裕とは、こういうことなのか。
穏やかな空気が流れつつも、時に大胆とも思われる演出で、驚かせつつ、愉しませて くれる。

吉兆の創始者、湯木貞一氏の孫に当たる、若主人、徳岡邦夫氏が現在この店を守る。 「吉兆」の文字を染めた法被、庭先に出られるように用意された下駄、チョロチョロ と静かに音を立てる蹲(つくばい)。些細なものにも魂が宿るように映る。

現在、吉兆では、上品な味わいの山川産雄節と、ややクセのある枕崎産雄節、作り方の異なるメーカーの2種を巧みにブレンドして使っている。山川産だけだと単調になりやすい反面、枕崎産だけだと個性が強すぎる。双方を合わせることで深みのあるだしがとれるというわけだ。
また、暑い季節は、だしがサラッと仕上がるように、高価なことでも知られる香深産の利尻昆布を使う、二番だしには少し羅白昆布を足すなど、食材や気象条件に合わせて、だし素材やだしをひく際の火加減、時間などを使い分ける。結果、唯一無二、その日、その時の料理にベストマッチのだしができあがるのだ。

初秋の八寸は「花屏風」。野を彩る秋の風景。グジの幽庵焼、焼鱧冊、海老うま煮、 牛舌山椒だき、栗、銀杏などが盛り込まれている。

私たちが訪れたのは6月の終わり。ちょうど夏越祓(なごしのはらえ)の時であっ た。京都の神社では大きな「茅(ち)の輪」を社頭に飾り、くぐると無病息災、悪厄退 散になると伝えられている。それにちなんで、先付けの器の上には、小さな茅の輪が 添えられている。「真ん中にあるのは厄除のお守りです」と、係の女性。お参りに 行った気分になりつつ、記念に持ち帰る。
「明かりを少し暗くさせていただきます」との声とともに、氷を敷き詰めた鉢に、蝋 燭を灯した八寸が運ばれてきた。夏らしく、ほおずきも盛り込まれる。縁日へ、夕涼 みに出掛けた時のことを想像する。ややもすると気恥ずかしくなるような演出だが、 サラリとやってのけるから心憎い。

桂川のほとりに、堂々たる門構えで佇む。予約していた時間の前から、法被姿の男衆 が私たちを待つ。爽やかな香りのお香が焚きしめられた上がり端には、若女将の徳岡 律子さんらが柔らかな笑顔で出迎えてくれる。  
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