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●胡瓜の漬け物 私はもともと財務省(旧大蔵省)で役人をやっていましたが、出向という形で、昨年の7月まで1年間ほど岩手県庁の農林水産関係の課長として仕事をしました。 その間、BSE(いわゆる狂牛病)や、偽装表示の問題など食の安全を揺るがすような大きな事件に次々と遭遇しました。多くの生活者や焼き肉屋さん、まじめな畜産農家が大変な思いをしているのを目の当たりにしました。
まず、美味しい胡瓜の漬け物には何が大事なのでしょうか。 なんだか当たり前の話です。 では、美味しい漬け物ができる胡瓜とは、どのようなものでしょうか。 どうしたらこのように、「くっつく」胡瓜が出来るのでしょうか。 ここが大事なところです。 胡瓜は、病気などに強くするため、カボチャの根に接ぎ木をして作るのが一般的だそうです。また、化学肥料をやった方が、作業が効率的であり、昔ながらの堆肥をしっかりと施すというやり方は、少数派なのだそうです。 どうして、当たり前だと思っていたことが、このように打ち捨てられてきたのでしょうか。 私は、こうしたあり方を全面的に否定するつもりはありません。 今、世界中で「スローフード運動」が広がっているそうです。 行政の方では、BSE等の一連の事件に対応して、食品表示に力を入れています。つまり、賞味期限や栄養成分、原材料、原産地といった情報を消費者に開示することです。これにより、私たちが日々の食品を選択する際の判断材料を与えられるわけです。 これはもちろん大事なことですが、これだけではまだまだ安心できません。なぜなら、開示された情報が真実なものかどうか、検査する体制が現段階では未整備だからです。いくら情報開示がなされても、その情報が正しいかどうか分からなければ、なんの意味もありません。こうしたことを考えると、安全で安心な食べ物を獲得していくためには、ただ食品の表示をしっかりとすることだけでは足りません。 良質なものを供給してくれる生産者を大事にすること。そして、その基盤となる土、水、空気といった環境を保全していくこと。 美味しいものを食べるには、実は、環境を守るとか、生活への意識を変えるとか、そうしたことがまず必要なのだと考えています。 |